大判例

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名古屋高等裁判所 昭和31年(う)1296号 判決

原判決がその判示第二の事実関係の証拠として挙示する諸証拠殊に被告人の検察官事務取扱検察事務官に対する第二、三回供述調書の記載の内容を仔細に検討し更に当審に於ける証拠調の結果殊に当審に於ける検証調書及当審証人島本久三郎、二村光男、和田喜美に対する証人尋問調書の各記載を参酌すれば是等の証拠を綜合して被告人は原判示日時同判示電柱に登り同判示電線を該電柱の腕木に取付けてある碍子から約一尺離れた箇所から切断窃取するに当り該電線には電流が通しているので同電線を切断するときは爾余の電線が其の重量の為に一方に牽引されて右碍子から地上に垂下し通行人等が之に感電して死傷の結果を発生する危険のあることは一般社会人として当然予見し得られるところであるからその電線の下垂した地点に立入らないよう右危険の発生を警告するか若くは該電線を碍子に引掛けその先端を張つてある電線に巻付け以て該電線が地上に垂下するを防止する等危険の発生を未然に防止すべき措置をとれば島本駿一が該電線に触れ同電線の電流の為感電即死する危険を避け得たのに拘らず事茲に出でず漫然電流の通じている電線を之が架設してある電柱の腕木に取付けた碍子から約一尺の箇所から切断窃取した為遂に爾余の電線がその重量の為一方に牽引されて地上に垂下しその附近を通行した前記島本をして之に感電させて同人を原判示の如く死に致らしめたことを認めることが出来るので被告人に過失の責任あること明白である。従つて原判決には判決に影響を及ぼすべき事実誤認の違法はないので論旨は理由がない。

(裁判長判事 影山正雄 判事 石田恵一 判事 水島亀松)

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